ひろゆき(西村博之)「これからを生きるための無敵のお金の話」

f:id:ramsyo:20190710223548j:plain

 

ひろゆき(西村博之)「これからを生きるための無敵のお金の話」(興陽館)を読みました。この本では、「お金」についてのひろゆき氏流の考え方がまとめられています。

 

「はじめに」で、「そもそも人はなぜお金を欲しがるのか?」という問いかけから始まります。

 

そして、その問いに対する答えは、

 

お金が欲しい理由は人それぞれですが、ひとつはっきりしているのは、お金がなくなったら怖いから、です。

 

p4

 

というもの。

 

それはその通りで、お金がなくなったら生活できなくなります。だから、その不安を解消するために、多くの人が仕事を辞めないし、お金をできるだけたくさん稼ごうとします。

 

その結果、お金の悩みが尽きなくなり、不安になったりします。お金はたくさんあるのに、不安だらけと言う人がいるわけです。

 

そういう悩みや不安を解消するには、お金がなくても不安を感じない状態にすればいいとひろゆき氏はいいます。

 

そして、そのために「何が必要か?」「どう考えるべきか?」「お金とどう付き合っていけばいいのか?」ということが、この本に書かれています。

 

「安かろう悪かろう」仕事をなくせ!

 

「安かろう悪かろう」の物って、買った人たちも売った人たちも幸せになれません。だって「悪かろう」なんですから。

 

p42

 

「安かろう悪かろう」なモノやサービスは、「悪かろう」なので、買う人からすると質が悪いし、「安かろう」なので、売る人からするともうかりません。

 

例えば牛丼屋。「安かろう悪かろう」のため、そこまでおいしくないし、店で働く人の時給も安い。

 

しかし「安ければ何でもいい」という人がいて、さらに「働く必要があるから時給が安くてもそこで働く」と言う人もいるため、そういう商売が成り立ってしまうわけです。そして、安い時給で働いて、疲弊する人が出てきます。

 

しかし「時給1000円以下なら働かない。安すぎるから」という人が増えれば、そういうビジネスモデルを展開する会社が成立しなくなります。そして、きちんと給料を支払う会社だけが生き残るようになります。

 

ひろゆき氏いわく「『安かろう悪かろうの仕事が淘汰され、きちんと給料を支払う会社だけを残したほうが、世の中は良くなるのではないか?」とのこと。これはその通りでしょうね。

 

宝くじが当たった人は破産する 

 

人は収入が上がったりして、前よりお金を持つようになると、生活コストを上げ始めます。

 

NFL(アメリカのナショナル・フットボール・リーグ)で年間何億円って稼ぐ人たちがいますが、選手をやめた途端に破産する人が多いんです。毎年何億円もある生活を変えられなくて、借金を背負っちゃって……という人が結構多い。あと宝くじに当たった人の多くが不幸になる、というのも有名な話ですよね。

基本的にほとんどの人は、お金が増えると多く使ってしまいます。

 

p74

 

破産や借金のリスクを無くす方法は、「生活レベルを上げない」ことです。

 

たとえば、年収が1,000万円になったとしても、翌年にその年収が半分以下になる可能性があるなら、生活レベルを上げないことが「自分を守る」ことにつながります。

 

また、そうやって生活レベルを上げずに生活すれば、収入が上がった時にはお金が余ります。その余ったお金を元手に、投資をしたり、やりたいことを始めたりできるわけです。

 

あるいは使わずに貯金しておけば、いざ収入が激減したときに、しばらくその貯金でしのぐことができます。

 

しかし収入の上昇に合わせて生活レベルを上げてしまうと、お金が余りません。

 

何かやりたいと思っても、そのためのお金が足りなかったり、突然収入が途絶えた時に貯金がないので「ジ・エンド」になります。

 

なので、収入が上がったとしても、生活レベルはむやみに上げない方が良いのです。これもその通りですね。

 

資産を作る確実な方法

 

資産を形成するにはどうすればいいのか?その答えはかなりシンプルです。 

 

資産を作るには、お金を使わないで貯めることが一番大切です。

 

p86

 

ズバリ、貯金すること、です!(笑)。何の真新しさもないオーソドックスな方法です。

 

しかし、資産がない人たちは、資産運用を考える前に、まずは「資産を作る」ために貯金したほうがいいよ、ということです。

 

要するに、たとえば総資産が10万円しかないのに株とか仮想通貨とかを買ったりするのは、リスクしかないよって話です。これもその通りですね。

 

消費者金融とリボ払いは利用するな

 

ひろゆき氏は消費者金融で借金する人と、クレジットカードのリボ払いを利用する人は「バカだと思っている」といいますが、これはまったく同感です。

 

消費者金融で借金するのはお金がないからですが、お金がないから借りた後すぐにはその借金を返せません。そのため利子がどんどん増え、借金の総額がどんどん膨らんでいってしまいます。あきらかに損です。

 

クレジットカードの「リボ払い」も同じです。リボ払いというのは、毎月小さなお金に分割して払っていくという方法のことです。この分割払いをしている間、常に利子が増え続けます。

 

そのため、最終的に支払総額がかなり増えてしまい、損します。

 

 たとえば10万円分の買い物をしたとしますよね。毎月1,000円ずつ返しますっていう場合、100カ月(8年4か月間)借り続けるわけです。その間ずーっと利子が増えるんですよ。

 

毎月1,000円しか払わなくていいんだと喜んでいても支払いはずっと続く。なので、支払う総額がめちゃくちゃ増えるわけです。

 

p106-107

 

リボ払いも、消費者金融と同じで借金です。損をしたくなければ、どちらも手を出してはいけないものなのです。

 

休日にお金を使わずに過ごす

 

世の中には、休日に散財する人がたくさんいます。もちろん、好きでそうしているなら別に良いと思います。

 

しかし「暇でやることがないから、とりあえず金を使って何かやる」という感じだと、それほど楽しくないうえに、いつまでたってもお金が貯まらず、「なんか生活が苦しいなー」という感覚を持ちながら暮らしていくことになります。

 

たとえば休日が週に2日あるとして、休日を過ごすために1日に1万円使いますって人だったら、それだけで月に8万円飛ぶわけです。年間100万円。それを20年やると2000万円ですよ!

 

p136

 

こんなふうに、ちゃんと計算してみると途方もない出費になることが分かります。

 

先日、政府が「老後資金に2000万円必要」と発表して物議を醸しましたが、休日に1万円ずつ使っていると、なんと20年でその2000万円分を失ってしまうのです。

 

そう考えると「もう少しお金を大事にしようかな」とも思いますね。お金のかからない趣味を見つけてそれを楽しむことができれば、休日を趣味で充実させつつお金も貯まるという、一石二鳥となります。

 

ベーシックインカム

 

「お金の不安から逃れる方法」の1つとして、ひろゆき氏は「ベーシックインカム」について言及しています。

 

「ベーシックインカム」とは、「日本人全員に毎月お金を配ろう」というもので、ひろゆき氏はだいたい7万円を想定しているようです。

 

このベーシックインカムのメリットは、

 

・最低限のお金が保障される

・突然失業しても無収入にならない

・無理して働かなくてもいい

 

といったものです。

 

理して働く必要がなくなるので、「生活のため」と言ってブラック企業で働く人がいなくなり、「ブラック企業が淘汰される」ようになると、ひろゆき氏は予想します。

 

そうするとブラック企業は人手不足で倒産するか、給料を上げたり労働環境を改善したりしてブラックではなくなり、結果的にブラック企業が淘汰される、という理屈です。

 

逆に、ベーシックインカムのデメリットとしては、「トイレ掃除」のような「人がやりたがらないが、世の中に必要な仕事」をする人がいなくなるかもしれないこと(これはひろゆき氏自身、他の場所で指摘している)。

 

それと、財源の問題です。

 

日本人全員に毎月7万円を支給するとなると、単純計算で、年間100兆円以上かかります。ちなみに平成30年の日本の歳入は約97兆円です。

 

つまり足りない。ベーシックインカム以外にもお金は必要なことを考えると、だいぶ厳しい。

 

ちなみに、ひろゆき氏は財源捻出案(※)を出しています。

 

※ひろゆき氏の財源捻出案はこちら

 

こうやって具体的な案を出してもらうと、本当に実現可能な気がしてきます。

 

まあぶっちゃけ、僕はベーシックインカムはあまり興味がないのですが(生活保護で充分でしょ派)、こうしてみると、ベーシックインカムも非現実なものではないことが分かります。

 

「ベーシックインカムなんて無理」というのはたんなる思い込みであることが分かります。

 

この制度が実現したら、社会の在り方がガラリと変わるのは間違いないでしょうね。

 

ひろゆき氏の結論は?

 

本の「あとがき」には、ひろゆき氏の結論が書かれています。

 

ひろゆき氏の結論は「お金を使わない癖をつけたほうが、後々楽だよ」というものです。

 

老後に1億円あると安心な人は、40年間、250万円ずつ貯めると到達できたりします。んで、生活に年間400万円使ってるとします。

 

そういう人が1億円で暮らすと、25年でなくなります。20代から60代までで1億円貯めたとしても、400万円ずつ使っていたら平均寿命の80代で貯金が底をつきそうになる。

 

p251-252

 

これを防ぐには、「老後も稼ぎ続ける」か「生活費を下げる」かのどっちかです。

 

前者の「老後も稼ぎ続ける」のは、結構しんどくないでしょうか。農業や職人や自営業といった「生涯現役」が可能な仕事に就けば可能かもしれませんが、定年のあるサラリーマンにはハードルが高いように思います。

 

それよりは、お金を使わないで生活する知恵を身に付けるほうが簡単です。使うお金が少なければ、多少収入が減っても、定年退職をしても、お金に対する不安は軽くなるということです。

 

これはいわば「自衛」のための方策ともいえますね。

 

なんだか地味でありきたりな結論ではありますが、非常に大切なことでもあります。「収入以上に金を使うな」という至極単純なお話です(笑)。

 

けど、単純なことが世の中、真理だったりするのですね。