映画『ハッピーフライト』感想~「働く人達」への讃美歌~

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2008年 日本

監督:矢口史靖

おススメ度:★★★★★

 

映画「ハッピーフライト」は、すべての「働く人達」に贈られる讃美歌のような作品です。

 

空港で働く人たちにスポットライトをあて、1機の飛行機を飛ばすために、どれだけ多くの人たちが関わり、汗を流しているのかを、コメディタッチで楽しく描いています。

 

監督は矢口史靖。代表作は「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」など、エンタメ性の高い作品を作る監督で、この作品にもその作風がよく表れています。

 

「働く人の物語」というと、ありがちなのが「努力、根性、歯を食いしばりながら艱難辛苦に耐え忍ぶ」みたいな話ですが、この映画にそんな悲壮感はありません()

 

終盤に緊迫した場面はありますが、それも「一人一人がベストを尽くす」というさわやかな演出になっています。

 

この映画を観て驚くのは、1機の飛行機を飛ばすために、多くの人が関わっているということです。パイロット、CA、グランドスタッフ、コントロールセンター職員、管制官、整備士、などなど。

 

中でも変わってるのが、「バートパトロール」という職種。「バードストライク(鳥と飛行機の衝突)」を防ぐために、鳥に向けてライフルを撃つ(空砲)仕事をする人です。この映画を観るまで、そんな仕事があるとはまったく知りませんでした。

 

映画は、パイロットの鈴木(田辺誠一)と、CAの悦子(綾瀬はるか)を中心に話が進んでいきますが、この二人以外にも濃いキャラクターが何人も出てきます。花形であるパイロットとCA以外にもきちんとスポットライトがあてられているのが、この映画の注目ポイントです。

 

劇中では専門用語がバンバン飛び交います。その専門用語についての説明は、映画の中では、ほとんどありません。何となく意味を想像しながら観ることになりますが、まったく気になりません。気にする間もなく様々なことが起こり、言葉の意味よりもストーリーを追うことに夢中になるためです。

 

つまり、映画として娯楽性が高いのです。

 

ストーリーが面白いので、細かい点がまったく気になりません。楽しく観ることができます。

 

コメディ要素が強いため、ところどころにオーバーな描写もありますが、「大体こんな感じで乗客をさばいて、フライトを運営しているんだな」ということが、よく分かるつくりになっています。

 

まとめ

 

僕らが飛行機に乗る時、ほんの数時間(国際便は十数時間)、椅子に座っている間に目的地に到着します。

 

その「ほんの数時間」は、多くの人たちが様々に関わり、支えることで、初めて成り立っているものなのです。

 

これは飛行機に限りませんね。僕らが日常で何気なく利用しているサービスは、本当にたくさんの人によって支えられることで成り立っています。彼ら/彼女らがいるからこそ、僕らは便利な生活を送ることができ、便利なサービスを受けることができるのです。そのことを思い出させてくれるのが、この映画です。

 

「ハッピーフライト」は、働く人たちに対して感謝の気持ちがわいてくるような、そんな映画です。