映画『ランボー(FIRST BLOOD)』感想~ベトナム戦争の悲哀~【名画鑑賞】

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公開:1982年 アメリカ
おススメ度:★★★★☆

 

映画『ランボー』は、『ロッキー』シリーズと並ぶ、シルヴェスター・スタローンの代表作です。

 

シリーズ化されていますが、シリーズ1作目であるこの「FIRST BLOOD」とそれ以降とでは少々、毛色が異なります。

 

2以降は、ド派手なドンパチアクションモノなのに対して、この1作目はややシリアスな内容。アクションシーンも、シリーズの中ではもっとも地味な内容。ただ個人的には一番好きな作品です。

 

山の中でゲリラ戦をするシーンは、「実際にベトナムでこうやって戦ったんだろうなー」と思わせるような説得力がありますし、スタローンの鍛え抜かれた身体と、軽快な動きが、その想像にリアリティを与えてくれます。

 

加えて、ジャッキー・チェンばりの命かけたアクション(崖を飛び降りる)もトチ狂ってるし(いい意味で)、トラックで爆走した挙句、マシンガンで町を破壊するところなんかも狂気を感じるし(いい意味で)、観ていてスカッとします(笑)。

 

ただ、僕がこのPART1を好きな理由はそこだけじゃなく、当時のアメリカの世相を反映している点です。

 

主人公ランボーはベトナム戦争の帰還兵で、「ベトナム戦争によって生み出された人間兵器」という設定ですが、戦争が終わって帰国すると、社会復帰ができずにフラフラと町から町へとあてもなくさまよっています。つまりホームレス。

 

当時のアメリカでは、戦争後遺症に悩まされる帰還兵が社会問題化していたといいます。ランボーもその一人として描かれています。

 

ランボーは戦場で敵兵を殺す技術、ジャングルでのサバイバルを生き抜く能力は飛び抜けています。しかしその能力は、戦場以外の社会では必要とされません。

 

戦場の英雄が、戦争が終わって帰国すると、役立たずの人間になってしまう。しかもベトナム戦争はアメリカが負けた戦争です。10年近く戦い、その間に反戦運動が盛り上がり、結局勝てなかったのです。兵士たちが帰国したとき、拍手で迎えられる事は無かったわけです。

 

ランボーは劇中、自分の思いを口にすることがない。常に無表情で無感情です。それがラストで、ダムが決壊したように激しく想いをぶちまけます。

 

帰国後、強い苦悩を抱いていたことが、ラストシーンで明らかになる。それまでずっと無表情・無感情だっただけに、強く訴えかけてくるものを感じます(スタローンの熱演もGood)。

 

このラストシーンを初めて観た時、僕は一気にこの映画を好きになりました。

 

そういう理由で、僕がランボーシリーズで一番好きなのは、この1なのです。