映画『君の名は』感想~圧倒的な映像美と娯楽性の高さ~

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公開:2016年 日本

監督:新海誠

おススメ度:★★★★★

 

2016年に、一世を風靡した作品。

 

新海誠監督の織りなす映像美に、エンタメ性の高いストーリーが加わるという、まさに鬼に金棒といえる本作。当時、劇場で観ましたが、改めてブルーレイで再鑑賞してみました。

 

この映画は序盤、中盤の怒涛の展開、そしてラストへ至るまで、ハイテンポで話が進んでいきます。なので観る側はほとんど退屈しません。

 

東京都心部に住む主人公と、山奥の湖畔にある田舎町に住むヒロインという、性別と生まれ育った環境が対照的な二人。その二人の身体が、なぜか入れ替わっているというところから話が始まります。

 

うまいなと思ったのは序盤の描き方です。説明なしで片方の入れ替わりだけを描くので、観てる人も劇中のキャラと同じく「え、何が起こってるんだ」と思うような仕掛けになっています。つまり「登場人物に感情移入できる」ような演出になっているのです。

 

その後、ヒロイン三葉と主人公の瀧がお互いの存在に気付くと、ノートやスマホを使ってお互いに意思疎通を取るようになります。このくだりはテンポがよく、コメディタッチで描かれていて楽しく観れました。

 

ここまでの展開だけを観ると、この楽しい雰囲気が最後まで続くのかなとも思いました。しかし、この映画がそれだけの内容だったら、この映画があれほどロングヒットすることはなかったでしょうね。

 

中盤、話が急展開します。

 

中盤以降の話は、間違いなく311を意識したものでしょう。

 

「大切な人がある日突然いなくなる哀しさ」

「あのとき、こうしていたら…という後悔」

 

これはいつの時代にも、どの国にもあり得る普遍的なテーマではないでしょうか。

 

10年後20年後の人が見ても共感できるテーマだと思います。つまり「普遍性」というやつです。この「普遍性」というのは、多くの人に受けいれられるために必要な要素だと思います。

 

僕はこの映画がヒットした理由として、娯楽性が高かったこと、脚本が良かったこと、そして上に書いた「普遍的なテーマ」と、もう1つは「映像美」だと思っています。

 

今の時代、わざわざ映画館に足を運ばなくとも、少し待てばブルーレイ・DVDをレンタルできるし、自宅のTVで高画質で映画を楽しめます。

 

しかし映像表現が素晴らしい映画なら、劇場の超巨大スクリーンで観る価値があると思えます(あと音響が映画館のスピーカーじゃないと再現不可能な作品。「インターステラー」などなど)。

 

この映画はまさにそんな映画です。ヒロイン三葉の地元「糸守」の風光明媚な美しさ、瀧が住む都会の光景を、絶妙な明暗により美しく描く、映像が素晴らしい映画です。

 

映像が美しい映画を観た時は、劇場まで足を運んだ甲斐があったと思えます。

 

加えて、様々な要素を詰め込んでる割に、エンタメ性を損なってない脚本も見事だと思いました。 ふつう、2時間程度の映画にあれこれ色んな要素を詰め込みすぎると、話が散漫になったり、テンポが悪くなったりするものだけど、この作品にはそれがないと思いました。

 

そして、ラストシーンについては、僕はあれでいいと思いました。

 

この映画は、あの終わり方がベストだと思います。

 

それまでさんざんすれ違ってきた二人です。最後くらいは報われたっていいじゃないかと(笑)。