2017年 日本
おススメ度:★★★★★
『BORDER~衝動~検視官比嘉ミカ』は、ドラマ『BORDER』シリーズのヒロイン、比嘉が主人公のスピンオフです。
この「衝動」には、本編主人公の石川が出てこないし、比嘉には死者と対話する能力がないので、ドラマ本編とは少し毛色が違っています。ただ、「死者の声を聞く」という、シリーズのコンセプトはこのスピンオフにも受け継がれています。
比嘉は比嘉なりのやり方で、死者の声を聞こうとします。
この「衝動」では、比嘉はまだ検視官になっておらず、大学の助手として働いています。しかし、いつになってもアシスタントしかさせてもらえず、自分の力を発揮できずにいました。本編ではキレ者の比嘉だが、この「衝動」ではその実力を持て余しています。
その理由は、比嘉が師事する教授の浅川が、比嘉に責任ある仕事させずにいつまでも自分の下に置いているためなのでした。ちなみに浅川役は石丸乾二です(『半沢直樹』で意地悪上司の役をやっていた人)。
その石丸乾二演じる浅川が、なかなかの無能っぷり・意地悪上司っぷりをさらしていて、思わず比嘉に同情してしまいます(笑)。けど浅川が無能な分、比嘉の優秀さが際立って見えるようになっています。ベタだけど、こういう対比の演出は効果的だと思いました。
この「衝動」の比嘉は、ドラマ本編ほどには気が強くなく、浅川にいいように利用されてしまっています(後に、立花の脇腹にグーパンかましたり、立花の顔に消しゴム投げつけたり、立花の顔にスティックのり投げつけたり、立花に…(以下略)、というバイオレンスさを発揮する比嘉に比べると、だいぶおとなしいですw)。
ドラマ本編の比嘉がツンケンしているのは、浅川との一件があって「女だからとなめられないように」という気持ちが強く出過ぎて、ああいうキャラになってしまったんでしょう(と思うことにするw)。
ちなみにこの「衝動」、もともとは『BORDER 贖罪』の直前にTV放映されました。
なので、当時リアルタイムで観た人は、まずこの「衝動」を観て、
「BORDERシリーズが戻ってきたぁァァー!!」
とテンションを上げ(たぶん)、それからシリーズ完結編である「贖罪」へと突入していったわけです。つまり、この「衝動」はいわば、「メインディッシュに対する前菜」のような役割の話だったわけです(放映当時)。
で、一方の僕はと言うと、「贖罪」を先に観てから、この「衝動」を観ました。なので、残念ながらそういう「前菜→メインディッシュ」のような流れで「衝動」と「贖罪」を堪能することはできませんでした(笑)。
「衝動」の全体的な感想を言うと、スピンオフだからしょうがないんですが、やはり石川などのメインキャストが出てこない分、どうしても別ドラマを観てる感覚になりました。
とはいえ、純粋にサスペンスものとして観て、良作でした。サスペンスものに大事な要素である「意外性」が盛り込められているからです。
少なくとも自分は、それなりに楽しんで観ることができました。